ランニングシューズの定番として、多くのランナーから絶大な支持を得ているアディダスの「アディゼロ ボストン」シリーズ。その最新作となる**「アディゼロ ボストン 13」**がついに登場しました。
前作から大幅なアップデートを遂げ、「まるで別物のシューズに進化した」との呼び声も高い一足です。
この記事では、アディゼロ ボストン 13の気になるスペックから、前作ボストン 12との違い、ライバルシューズとの比較、そして実際に履いて走ってみたリアルな感想まで、どこよりも詳しくレビューします。
「ボストン13の性能は?」「どんなランナーにおすすめ?」「Adios Pro 4の練習用に使える?」といった疑問を持つ方は、ぜひ最後までご覧ください。
アディゼロ ボストン 13 のスペック概要

まずは、アディゼロ ボストン 13の基本的なスペックを見ていきましょう。前作からの変更点も多く、注目すべきポイントが満載です。
スペック項目 | 詳細 |
---|---|
重さ | 255g (メンズ 27.0cm) |
ミッドソール | Lightstrike Pro (前足部・中足部) + Lightstrike 2.0 (ヒール部) |
推進システム | ENERGYRODS 2.0 (グラスファイバー) |
アッパー | エンジニアードメッシュ |
アウトソール | コンチネンタルラバー (母指球付近) |
スタックハイト | 36.0mm |
ドロップ | 6.0mm |
注目すべきは、アディダスのトップレーシングモデル「Adios Pro」シリーズにも採用されている高反発素材**「Lightstrike Pro」**がミッドソールの大部分を占めるようになった点です。これにより、反発性と軽量性が大きく向上しました。
また、推進力を生み出す**「ENERGYRODS 2.0」**は、硬質なカーボンではなく、よりしなやかなグラスファイバー製。プレート状ではなく、足の指に沿った5本骨構造になっているため、硬すぎない自然な足の屈曲を促し、安定した推進力を提供します。
前作(ボストン 12)からの劇的な進化点
ボストン 13は、前作のボストン 12からどのような進化を遂げたのでしょうか。主な変更点は以下の通りです。
- ミッドソールの構造変更と反発性向上
- ボストン12: Lightstrike ProとLightstrike 2.0が上下二層構造。
- ボストン13: Lightstrike Proの割合が大幅に増加し、前足部から中足部までをカバー。ヒールの一部に安定性を高めるLightstrike 2.0を配置。これにより、より高い反発性と軽量化を実現しました。
- 大幅な軽量化
- 前作から約15gの軽量化を達成。トレーニングシューズとしてはもちろん、レースシューズとしても十分通用する軽さになりました。
- よりフラットでナチュラルなソール形状へ
- スタックハイト: 39.5mm → 36.0mm
- ドロップ: 8.5mm → 6.0mm
- ソールが全体的に薄くなり、ドロップ差が小さくなったことで、よりフラットな設計に。これにより、ミッドフットやフォアフットでの着地がしやすくなり、自然なランニングフォームをサポートします。
- 履き心地と安定性の向上
- シュータンのクッションが増量され、足当たりがより柔らかくなりました。
- ヒールカウンターのホールド感が向上し、着地時のブレを抑制。安定性が格段にアップしています。
これらの変更により、ボストン 13は単なるアップデートに留まらず、シューズのコンセプト自体がよりスピードとパフォーマンスを意識したものへと進化したと言えるでしょう。
【インプレッション】足入れと実走レビュー

足を入れた瞬間に分かる、上質なフィット感
まず足を入れて感じたのは、アッパーのフィット感の良さです。特に改良されたシュータンは、クッションが効いていて足当たりが非常に柔らか。ヒール部分もしっかりと固定され、シューズとの一体感と安定性を感じます。
ミッドソールは、高反発素材のLightstrike Proがメインでありながら、想像していたよりも柔らかすぎず、適度な硬さと安定感があります。これは、シューズ全体のバランスが優れている証拠でしょう。
走った感想:ロイター板のような心地よい反発と安定感
実際に走ってみると、Lightstrike ProとENERGYRODS 2.0が生み出す確かな反発を感じることができます。しかし、その反発は硬すぎるものではありません。
グラスファイバー製のENERGYRODS 2.0がもたらす “しなり” のある反発は、まるで**「ロイター板」**で跳ねるような感覚。硬いカーボンプレートとは異なり、脚への負担が少なく、長時間・長距離を走っても疲労感なく走り続けられました。
特に、アディダスのトップモデル**「Adios Pro 4」の感触に少し近い**ものがあるため、普段のレースでPro 4を履いている私にとっては、最高のトレーニングパートナーになると確信しました。
ライバルシューズとの徹底比較
万能シューズとして名高いボストン 13ですが、他メーカーのライバルシューズとはどのような違いがあるのでしょうか。
vs. ナイキ ズームフライ 6
- ズームフライ 6: より柔らかく、高い反発性を感じる。スピードに乗りやすい感覚。
- ボストン 13: ズームフライほどの柔らかさはないが、その分安定性に優れる。着地時のブレが少なく、安心してペースを刻める。
スピード性能ではズームフライに軍配が上がるかもしれませんが、安定感や長距離での安心感を求めるランナーにはボストン 13がおすすめです。
vs. アディゼロ SL
- アディゼロ SL: 非常に柔らかく、**「トランポリン」**のような弾む感覚が特徴。
- ボストン 13: 前述の通り、**「ロイター板」**のような、よりしっかりとした反発感。
同じアディダスのデイリートレーナーでも、フィーリングは大きく異なります。柔らかく弾むような乗り心地が好みならSL、しっかりとした反発と推進力が欲しいならボストン 13が良いでしょう。
アディゼロ ボストン 13 はこんなランナーにおすすめ!

その優れたバランスから、アディゼロ ボストン 13は非常に幅広いランナーにおすすめできる一足です。
- サブ3.5〜4.5を目指すランナーのレースシューズとして
- Adios Pro 4など、トップモデルの練習用シューズとして
- レースから日々のトレーニングまで一足でこなしたい、初心者〜中級者ランナー
- フラットなソールと厚底の感覚が、厚底スパイクにも近いため、短距離選手の練習用として
まさに「一足あれば何でもできる」万能シューズと言えるでしょう。
総評:全てのバランスが秀逸な、新時代のスタンダード
アディゼロ ボストン 13は、軽量性、反発性、安定性、履き心地、そして価格。その全てのバランスが極めて高いレベルで融合した、非の打ち所がない万能シューズです。
前作の良さを継承しつつ、ミッドソールを中心に大胆な進化を遂げたことで、デイリートレーナーの枠を超え、レースでも十分に戦えるポテンシャルを秘めています。
次のレベルを目指すすべてのランナーにとって、最高の相棒となってくれることは間違いありません。ぜひ一度、その進化した走りを体感してみてください。