ジョギングで健康になろう!効果とリスク、正しい方法を科学的に解説

近年、健康意識の高まりとともにジョギングを始める人が増えています。しかし、ジョギングの効果やリスク、正しい方法については、意外と知られていないことも多いのではないでしょうか?

この記事では、スポーツ科学の専門家として、ジョギングと健康の関係について、論文等の科学的根拠に基づいて解説していきます。 他の運動と比較して、ランニング、水泳、サイクリングは、全死亡リスクが2割以上低いことが報告されています。 ジョギングの効果を最大限に引き出し、健康的な生活を送るために、ぜひ参考にしてください。  

ジョギングが健康に与える影響

ジョギングは、全身運動であるため、様々な健康効果が期待できます。ここでは、主な効果について詳しく見ていきましょう。

心血管系への影響

ジョギングは、心臓や血管の機能を高める効果があります。 軽い運動であるジョギングは、血液の流れを良くし、全身の健康に良い影響を与えます。また、心肺機能の向上、血圧の低下、コレステロール値の改善なども期待できます。 中強度のランニングは、短時間であっても快適気分を誘発すると同時に、前頭前野の活動を促進し認知機能を高めます。 ランニングのような運動をすると、低密度リポタンパク質(LDLコレステロール)を血液から肝臓に移動させ、排泄する働きのある酵素が刺激されます。いわゆる「悪玉」コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを低下させる効果が期待できます。ジョギングは、高密度リポタンパク質(HDLコレステロール)の増加も促します。いわゆる「善玉」コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールを増加させることで、血栓、脳卒中、高血圧、心臓病のリスクを減少させる効果も期待できます。  

代謝系への影響

ジョギングは、エネルギーを消費するため、体重減量や体脂肪の減少に効果的です。 また、血糖値の改善や脂質代謝の促進にもつながります。 さらに、運動後16時間以上にわたってインスリン感受性の持続的な上昇が認められています。 ランニングは、全死亡、癌死、心血管死のリスクを低下させる効果があるという研究結果も報告されています。 また、ジョギングを行うことで、血流が増加し、気道から細菌を取り除く効果があることが明らかになっています。 深部体温が上昇することで、白血球と抗体の数が増加し、免疫力が向上も期待できます。  

筋骨格系への影響

ジョギングは、下半身を中心に全身の筋肉を鍛えることができます。 特に、ふくらはぎや太ももの筋肉が強化されることで、基礎代謝が上がり、太りにくい体作りに役立ちます。また、骨密度向上や関節の柔軟性向上も期待できます。 運動によって抵抗を受けると、体は骨密度を高めて守ろうとします。 長距離の持久走によって骨形成マーカーの増加が認められています。  

精神面への影響

ジョギングは、ストレス軽減効果も期待できます。 セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌を促進することで、気分転換になり、うつ病予防にもつながります。 また、幸福感の向上や、新しい情報や言葉を学習する能力を向上させるという研究結果もあります。 定期的に運動を続けると、脳内で学習や記憶に関連する領域の海馬の大きさが増大すると言われています。 ランニングをすることで、脳を活性化する脳由来神経栄養因子(BDNF)が分泌され、認知機能が向上することが報告されています。 また、屋外での運動は、屋内での運動に比べてストレス軽減効果が高く、幸福感を強める効果もあるという研究結果もあります。 多くの研究で定期的な有酸素運動、特にジョギングと早歩きが鬱の症状を軽減させることが明らかになっています。 中でもランニングは抗うつ剤と同等の効果があるとする研究もみられます。  

ジョギングの効果を最大限に引き出す方法

ジョギングの効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

適切な運動強度と頻度

運動強度は、息が少し上がる程度のややきついと感じるレベルが目安です。 頻度は、週に3~5回程度が理想的です。 ただし、体力レベルや目標に合わせて、無理のない範囲で調整しましょう。 1日10分を小まめに走る意識を持つだけでも、週10kmを達成できます。

正しいフォーム

正しいフォームで走ることは、怪我の予防だけでなく、効率的な運動にもつながります。背筋を伸ばし、視線は前方に向け、腕は自然に振りましょう。

ウォーミングアップとクールダウン

運動前には、ウォーミングアップを行い、体を温めることで、怪我の予防に役立ちます。 運動後には、クールダウンを行い、心拍数を徐々に落ち着かせることで、疲労回復を促します。 クールダウンには、ジョギングなどの軽運動が効果的です。  

ジョギングに関連するリスクと注意点

ジョギングは、健康に良い運動ですが、リスクや注意点も存在します。

オーバーユースによる怪我

ジョギングでは、足腰への負担が大きいため、オーバーユースによる怪我のリスクがあります。 特に、膝や足首の怪我に注意が必要です。 最もよく傷害を受ける関節は膝であるという報告もあります。  

運動中の体調不良

運動中に体調が悪くなった場合は、すぐに運動を中止しましょう。 特に、熱中症や脱水症状、低血糖などに注意が必要です。こまめな水分補給を心がけ、体調の変化に気を配りましょう。  

運動環境

気温や湿度が高い日や、路面状況が悪い日は、怪我や体調不良のリスクが高まります。 運動環境にも注意し、無理のない範囲でジョギングを行いましょう。  

その他のリスク

ジョギングは体に負担のかかる活動です。繰り返し衝撃を受けることで、関節に炎症が起こることもあります。 関節炎などの炎症性関節疾患を持つ人は特に注意が必要です。 また、長距離ランニングと胃腸の問題に関連性があることも報告されています。 心肺系の血流が増えた分、消化器系の血流が減ることで、お腹がゆるくなったり、下痢になったりすることもあります。  

まとめ

ジョギングは、心血管系、代謝系、筋骨格系、精神面など、様々な健康効果をもたらす運動です。 特に、ランニングは抗うつ剤と同等の効果があるという研究結果や、 週10km走るだけでも mortality rate が30%低下するという研究結果は、 ジョギングを始める大きなモチベーションになるのではないでしょうか?  

しかし、怪我のリスクや注意点もあるため、正しい方法で行うことが重要です。

この記事で紹介した内容を参考に、ジョギングを安全に楽しみ、健康的な生活を送るために役立ててください。

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