プーマ ディヴィエイト ニトロ エリート 4 徹底レビュー|実走してわかった真のポテンシャルと欠点

シューズ

プーマがランニングシューズ市場において劇的な進化を遂げる中、その到達点ともいえるモデルが「ディヴィエイト ニトロ エリート 4(DNE4)」です。先行モデルから素材工学と幾何学的設計の両面で大幅なアップデートを遂げたこの一足を、実際のテスト走行を通じて徹底的に解剖します。


1. 実走インプレッション:ペース変動に伴う感覚的力学の変化

実際に着用して走行した際、数値以上の「軽さ」と「接地感の鮮明さ」を肌で感じることができました。速度域によって変化するその表情をレポートします。

(5:30/km前後):高い安定性と自然な感触

多くのカーボンプレート搭載シューズは低速域で「歩きにくさ」や「不安定さ」を感じさせますが、DNE4はこの速度域では驚くほど「普通」のシューズとして振る舞います。新素材のA-TPUフォームは沈み込みすぎず、適度なクッション性を維持。路面をしっかりと捉える感覚が強く、カーボンプレートは突き上げではなく「土台の安定感」として機能します。

(4:00/km〜4:40/km):エネルギー効率の極致

このペース域に入ると、DNE4の「二面性」が明らかになります。フォームの圧縮とプレートのしなりが同期し始め、主観的な努力感(RPE)が低下するのを感じました。

8mmドロップへの変更により、**「自らの荷重でプレートを押し込む」**感覚が強まっています。ミッドフットで着地した際、最もエネルギーリターンの高いスイートスポットを正確に踏み抜くことができ、筋肉への負担を抑えながらスムーズに前へ送り出される感覚です。

(3:30/km以下):鋭く、短い接地時間

インターバル走やレースの勝負所となるこの速度域では、真のエリート性能が露わになります。反発の質は爆発的なバネ感というよりも、「パンチの効いた鋭い応答」

接地時間は極めて短く感じられ、足が地面に触れた瞬間に再設計されたPWRPLATEがフォアフットでの蹴り出しを強力にサポートします。疲労が蓄積しフォームが崩れ始めた際も、プレートが「もっと前へ」と促すリマインダーのように機能し、効率的な走りを維持させてくれる心強さがありました。


2. 構造分析:技術的進化の核心

A-TPU NITROFOAM ELITE

ミッドソール素材が従来のPEBAベースから**脂肪族TPU(A-TPU)**ベースへと洗練されました。これにより前作比で大幅な軽量化(約20g減)を達成しつつ、反発の質がより持続的になっています。化学的安定性が高く、長距離走行や繰り返しの使用でも反発特性が変化しにくい点が大きな強みです。

ULTRAWEAVE アッパーとホールド感

新採用のULTRAWEAVEアッパーは、極薄ながら足への密着度が高い。特筆すべきは「のこぎり状のシューレース(Serrated Laces)」で、締め付けた位置で完璧にロックされ、走行中に緩むストレスが一切ありません。


3. 主要スペック比較表

項目ディヴィエイト ニトロ エリート 4ディヴィエイト ニトロ エリート 3競合モデル (参考)
重量 (27.0cm)約170g – 184g約194g – 204g約185g
ドロップ8mm8mm (10mm説あり)8mm
ミッドソールA-TPU NITROFOAM ELITEPEBA / A-TPUPEBA系
主な質感自然・安定・鋭い安定・やや硬め爆発的・バネ感

4. メリット・デメリット:実走で見えた光と影

メリット

  • 圧倒的な安定性: 広いプラットフォームにより、急なカーブや不整地でもコントロールが容易。
  • 無類のスーパグリップ: 濡れた路面でも吸い付くような「PUMAGRIP」の安心感。
  • 自然な走行感: 「シューズに走らされる」のではなく、自分の足で路面を蹴る感覚を増幅できる。
  • 耐久性への期待: A-TPU素材の採用により、高いパフォーマンスが長期間持続する。

デメリット

  • アウトソールの肉抜き: 軽量化のためにラバーが排除された箇所のフォーム露出があり、接地癖によっては摩耗が早まる懸念がある。
  • タイトなラスト設計: プーマ伝統の細身の作り。幅広のランナーには中足部の圧迫感が強い可能性がある。
  • 低速時の「底の硬さ」: プレートをしならせる荷重をかけられないペースでは、クッションの恩恵を受けにくい。

5. 結論:自分を信じて「回せる」精密な道具

プーマ ディヴィエイト ニトロ エリート 4は、スーパーシューズ特有の「履きこなさなければならない」というプレッシャーからランナーを解放してくれます。

爆発的な反発よりも、**「トータルでのエネルギー効率と心理的安心感」**を重視する設計。自分の足で路面を蹴り、その力を最大限に増幅させたいと願うランナーにとって、これ以上ない「精密な道具」となるはずです。42.195kmの最後まで自分を信じて走り抜くための、冷静かつ確実な解がここにあります。

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