マジックスピード5 最速レビュー

アシックス

「カーボンシューズの入門モデル」として確固たる地位を築いてきたMAGIC SPEEDシリーズ。前作『MAGIC SPEED 4』ではクッション性を極限まで高めたマキシマルな設計で話題を呼びましたが、今作『MAGIC SPEED 5』は真逆の進化を遂げました。

結論から言えば、今作は間違いなく「買い」です。

ただし、それは「ジョグでも使える万能厚底」を求める層にとってではありません。「速くなるためのトレーニング」と「自己ベスト更新」を渇望するランナーにとっての最適解として、生まれ変わりました。重量約193gという劇的な軽量化と、トップモデル譲りの新素材。これはもはやメタスピードの廉価版ではなく、独立した「軽量レーシング・トレーナー」です。


3. 基本スペックと前作(MS4)からの進化

まずは、この劇的な変化を数値で確認します。

項目MAGIC SPEED 5 (新作)MAGIC SPEED 4 (前作)変化
重量 (27.0cm)約193g約242g-49g (約20%軽量化)
スタックハイト37.5mm43.5mm-6.0mm (低重心化)
ミッドソール上層FF LEAP (フルレングス)FF TURBO (前足部のみ)全面刷新・高反発化
ミッドソール下層FF BLAST PLUSFF BLAST PLUS維持 (安定性担当)
プレートフルレングスカーボンフルレングスカーボン形状再設計
価格 (税込)19,800円18,700円微増

最大のトピック:FF LEAPの採用と軽量化

最大の進化点は、ミッドソール上層に新素材**「FF LEAP(エフエフ・リープ)」をフルレングスで採用したことです。

前作では前足部のみに反発素材を配置していましたが、今作では足裏全体でエネルギーリターンを得られます。FF LEAPは従来のFF TURBO+と比較して軽量かつ柔軟性が高い**脂肪族TPU素材であり、これが約50gという驚異的な軽量化と、鋭い反発力の両立を実現しました。

また、スタックハイトを37.5mmに抑えたことで、接地感が希薄だった前作に比べ、路面情報を掴むダイレクトな操作性が向上しています。


4. 実走レビュー:走行感の徹底分析

ジョグ〜Eペース(キロ5:00〜6:00)

  • 安定感: 重心が下がったこと、および下層のFF BLAST PLUSが土台として機能することで、低速域でも左右のブレは少ないです。
  • クッション: 前作のような「沈み込むようなフカフカ感」はありません。接地感はやや硬めで、ダイレクトに地面を感じます。LSDやリカバリージョグには、クッションがやや物足りなく感じる可能性があります。

ペース走〜インターバル(キロ3:30〜4:30)

  • 反発性: ここが真骨頂です。スピードを上げ、踏み込みが強くなるとFF LEAPが瞬時に反応し、強力な推進力を生みます。
  • 操作性: 193gという軽さが、ピッチ(ケイデンス)の上げやすさに直結しています。インターバルの後半でも脚が回る感覚は、前作にはなかったものです。
  • プレート効果: ソールが薄くなった分、カーボンプレートの「弾き」を強く感じます。ロッカー構造(GUIDESOLE)による転がりよりも、自力で地面を蹴って進む感覚が強調されています。

ここが気になる(デメリット・注意点)

  • ロング走での保護性: フルマラソン後半(30km以降)を想定すると、前作ほどの脚持ち(衝撃吸収性)は期待できない可能性があります。特にヒールストライカーで着地衝撃が大きいランナーには、突き上げを感じる場面があるかもしれません。
  • 硬さ: マキシマルクッションに慣れた足には、初期段階で「硬い」と感じられるでしょう。

5. サイズ感とフィット感

  • 足入れ感: アシックス標準のサイズ感です。縦幅は適正。
  • ラスト(足型): レーシング寄りの設計のため、トウボックス(つま先)はややタイトです。高速走行時のブレを抑えるための仕様ですが、足幅が広いランナーはワイドモデルの検討、もしくは0.5cmサイズアップを視野に入れるべきです。
  • 通気性: アッパーの保水性が低く、汗抜けは極めて良好です。

6. ライバル比較とおすすめユーザー

同価格帯・同カテゴリの競合モデルと比較します。

  • vs Nike Zoom Fly 6:
    • ズームフライ6は重量があり、クッションによる「巡航」が得意。
    • マジックスピード5は軽量で、反発による「加速」が得意。
  • vs Adidas Adizero Boston 13:
    • ボストン13はロッドによる剛性が強く、強制的な誘導感がある。
    • マジックスピード5はFF LEAPの柔軟性があり、より足の動きに追従するバウンシーな感覚。

マジックスピード5はこんな人におすすめ

  • サブ3.5〜サブ4目標: レース本番で「軽さ」を武器に後半まで粘りたいランナー。
  • サブ3目標: スピード練習や距離走を行うための、高耐久なトレーニングシューズを探しているランナー。
  • 部活生: トラック練習からロードまで1足でこなし、かつ耐久性も求められる学生ランナー。
  • ピッチ走法: 重いシューズだと回転数が落ちてしまうタイプ。

こんな人には合わない(見送り推奨)

  • とにかく柔らかい「雲の上のような」クッションが好きな人(→ SUPERBLAST 2やNOVABLAST推奨)。
  • LSDやウルトラマラソンでの使用がメインの人。

7. まとめ

ASICS MAGIC SPEED 5は、前作の「誰にでも優しい厚底」から脱却し、**「速さを追求するランナーのための武器」**へと回帰しました。

19,800円で、トップモデルに匹敵する190g台の軽さと最新素材FF LEAPを体感できるコストパフォーマンスは、2025年の市場において圧倒的です。

日々のインターバルで心肺を追い込み、ペース走で限界に挑む。そんなストイックなランニングライフを送るあなたにとって、このシューズは最高のパートナーになるでしょう。

「練習から速く、本番はもっと速く。」

自己ベスト更新を狙うなら、迷わず足を入れるべき一足です。

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